身体にも自然にも優しい『オーガニックワイン』とは?

皆さんオーガニックワインは飲んでますか?

「身体に優しそう」「いっぱい飲んでも頭が痛くならない」「SDGs的にも良さそう」など、色々なご意見があると思います。

とくに近年SDGsの影響もありその生産量は増えている印象ですが、今回はそんなオーガニックワインについて考えていきたいと思います。

オーガニックワインとは?

20220831-002

オーガニックワインとは、ざっくり表現すると『農薬や化学肥料などを使わずに栽培したブドウを使って造るワイン』です。

もうちょっと補足すると、遺伝子操作や放射線処理も行っていないブドウも使っていません。

ただ勘違いされやすいのが、添加物も一切使用していないと思われがちですが、ワインが腐ってしまったり劣化しやすくなってしまうので、安全面に配慮して必要最低限の使用は許可されています。

オーガニックワインとビオワインの違い

オーガニックはビオともいい、ビオワインというのも存在します。

オーガニックワインもビオワインも有機栽培されたブドウを使用しているワインなのですが、日本とEUでは全く扱い方が異なります。

日本でのオーガニックとビオの違い

「オーガニック=有機」という意味で、日本では農林水産省が認める認証機関でJAS規格の認証を受けたものだけが使用可能な言葉なのです。

逆に、「ビオ」「ビオワイン」という言葉に関しては、JAS認定などの認証を受けないでも使えるという違いがあります。

EUでのオーガニックとビオの違い

日本と違いEUでは、オーガニックワインはもちろん、ビオやビオワインという表現に関しても決まりがあります。

EUの基準において「オーガニックワイン」「ビオワイン」と名乗るためには専門機関の認証が必要です。

スーパーやワイン専門店、ネットで売られているオーガニックワインやビオワインのうち、EU圏の国で造られたものには認証マークがラベルに貼られています。

様々なオーガニック認証

そんな認証マークですが、国や団体によって規定は様々。

代表的なオーガニック認証をいくつかご紹介します。

オーガニック認証マーク
EU有機ロゴマーク EU
EUの有機農業規則に従って生産された農産物であることを証明するマークです。欧州旗の象徴でもある12個の星、葉の形、緑色の「ユーロリーフ」は、欧州と自然の融合をイメージしています。
デメテールロゴマーク" Demeter(デメテール、デメター)
1932年に、ドイツにて認証組織が設立された、基準は極めて厳しいビオディナミ農法と呼ばれる方法で造られた有機食品のみが受けられる認証。ビオディナミ農法を実践してからなんと7年以上経っていないと取得できないという規定があり、長い歳月をかけてビオディナミ農法を貫いている農家のみに与えられる認証です。ユーロリーフとのダブル認証も可能です。
Asociacion Comite Andaluz de Agricultura Ecologica Asociacion Comite Andaluz de Agricultura Ecologica
スペインアンダルシア州における有機農業を促進する目的で1991年に設立されたNPO法人です。現在では9000名の会員を擁し、2009年からは IFOAM (International Federation of Organic Agriculture Movements)の理事でもあります。
ECOCERT(エコサート) ECOCERT(エコサート)
ヨーロッパを中心として世界85ヶ国以上で活動し40,000もの有機栽培業者が登録している世界最大の国際有機認定機関です。国際有機認定機関としては、世界最大規模の団体 であり、オーガニック認証団体の世界基準といわれています。
エコアグロ エコアグロ
スペインの所轄官庁によって認可された、農産物の認定機関で、製品の認証機関の一般要件を定めるEUの規則UNE-EN 45.011 (内容はISO/IEC 65と同様)に則り、認定システムの管理と評価を行っています。
CAERM (Consejo de Agricultura Ecologica de la Region de Murcia) CAERM
スペイン、ムルシア州の有機農法の管理システム導入を担う組織として2000年より活動を開始し、2003年12月からは公共法人として活動する公的認証機関です。
フランス政府認定 有機農産物認定証 フランス政府認定 有機農産物認定証
AB、オーガニック認証は有機農業からの製品生産の認証モードです。有機農業のラベル(またはラベルAB)はフランス農林水産省が1985年に作成、定義された品質ラベルです。このラベルは有機農業の発展と促進のため、バイオ庁と呼ばれるフランス機関により承認されています。
Associazione Suolo e Salute Associazione Suolo e Salute
1969年に医者や市民活動家によって北部トリノで設立されました。Suolo e Saluteの歴史は大変古く、イタリアにおける有機農業のさきがけと言われております。1972年には国連の認定NGOであるIFOAM (アイフォーム/国際有機農業運動連盟 ) の設立に関わった認証機関です。日本政府より、有機認証機関として認定。
icea ICEA(Insulated Cable Engineers Association〜イチェア〜)
イタリア有機農業協会(=AIAB)を母体とするイタリアの代表的な有機栽培認定機関で、通称アイアブと呼ばれています。食品、繊維、衣類などを含む幅広いオーガニック製品を扱っています。ICEAが定めるオーガニックコスメ認定は、動物実験の禁止、石油由来の原料や遺伝子組換えの原料の使用禁止、コラーゲンや牛脂などの動物由来成分、合成染料、シリコンなどもすべて使用禁止となっています。

しかし、有機認証を受けるには時間と費用がかかるので予算に余裕がなかったり、こだわりからあえてマークを付けたくなかったり、様々な理由で認証を受けない生産者さんもいます。

ですので、認証マークがあるものだけが「オーガニックワイン」かというと、そういうわけではないことも覚えておいていただければと思います。

オーガニックワインに使うブドウの栽培方法

オーガニックワインに使うブドウを栽培するには3つの方法があります。

リュット・レゾネ農法

化学肥料や農薬を必要最小限使用する農法です。減農薬農法とも言われますね。

出来るだけ化学肥料や除草剤を使わず、必要な時に必要最小限に使用します。

ブドウが病気にかかった時だけ必要最低限の農薬などを使用することで、ブドウを健康な状態に戻してあげることが、ブドウにとっても、そして生産者にとっても非常に合理的ではないかという考えから生まれた農法です。

ビオロジック農法

有機農法とも呼ばれるビオロジック農法です。

リュット・レゾネ農法とは違い、化学肥料や除草剤、農薬などは使用できません。

生態系のバランスを崩さないようなナチュラルな物質を調合して、畑のトラブルに対処するため、動物のフンなどを肥料として使ってブドウを育てています。

ビオディナミ農法(バイオ・ダイナミックス)

ビオディナミ農法も、一切の化学肥料や除草剤を使うことはできません。

こちらの農法が面白いのは、天体の運行に合わせ、自然物質を使った特別な調剤を用いて、自然の潜在能力を引き出す農法で、月や星座の動きによって肥料を散布したりブドウを収穫したりする日取りを決めているのです。

ワイン造りにスピリチュアル的な要素を取り入れてるんですね。

おすすめワイン

エブリン フークス ピノノワール(トラディション)

しなやかな酸味と優しい味わいのこのピノノワールはお手頃価格で親しみやすく、地元アルザスでも人気のワインです。

果実味や旨味が程よく広がりバランスが良く、アルザスピノノワールの可能性を感じることができます。

ヴィヌーヴァ プリミティーヴォ サレント IGP

イタリアのかかとにあたるプーリア州で作られたオーガニックワイン。

暑く乾燥した地中海気候のもと、殺虫剤や除草剤等の化学的な製品を使わず土地の個性を純粋に表現した有機ワインです。

幹を低く剪定、 1本1本独立して栽培する伝統的な仕立法アルベレッロを採用しているため、自由に伸びた枝葉が太陽光から葡萄を守り 収量が自然と制限されます。

南イタリアの陽光を反映しているので、果実の旨味と甘みが広がる濃密な味わいを感じることができます。

エブリン フークス クレマンダルザス ブリュット ロゼ

シャンパンと同じ『瓶内二次発酵』による伝統的な製造方法で造られるスパークリングワイン。

とにかく泡がきめ細やかで、シャンパングラスに注ぐととてもきらびやかでいつまでも眺めていられますね。

ロゼの色味もくっきりピンクで、女性にも人気の一本となっております。

プロヴェルビオ プロセッコ オーガニック DOC エクストラドライ

古代ローマ時代から存在するイタリアの土着品種、グレーラを使用してヴェネト州で生産された辛口スパークリングワインです。

グレーラは、イタリア・ヴェネト地方で造られるブドウで、9月中旬、新鮮な果実味をもたらす豊かな酸味を保持している完熟葡萄を手摘みで収穫しています。

繊細な味わいとキメ細やかな泡立ちで、洗練された魅力が広がるオーガニックプロセッコをぜひ!

最後に

オーガニックワインは、化学肥料・農薬・除草剤などを使わないため、身体にも環境にも優しい点が特徴です。

美味しさと、優しさと、畑のオリジナリティと、より個性が出るオーガニックワイン。その中で自分のお気に入りを見つけるのも面白いですよ!

近年、世界中で環境問題やSDGsに関心が広がっていますので、オーガニックワインにもさらに注目してはいかがでしょうか?

ワインを学ぶの最新記事8件