皆さんはフランスのアルザス地方をご存知でしょうか。
「聞いたことないよ~。」という方が多いかも知れませんね。
アルザスはボルドーやブルゴーニュに比べると知名度は低いかも知れませんが、生産量の約90%が白ワインという、フランス屈指の白ワイン生産地として知られている地域なんですよ。
生産量の74%がフランス国内で消費されていて、フランス人に愛され過ぎて国外ではまだあまり知られていないという、そんなアルザス地方を今回はご紹介したいと思います。
アルザス地方について
アルザス地方はフランスの北東部に位置し、ライン川を挟んでドイツとの国境沿いに広がる地域です。
ライン川と平行して南北に連なるヴォージュ山脈がそびえ立っておりまして、アルザスのブドウ畑はこのヴォージュ山脈の東側、南北120km、およそ1万6,000ヘクタールにわたる帯状の斜面に広がっています。
フランスとドイツの間でお互いに統治された歴史があり、両国の文化の影響を受けていて、ドイツの影響も色濃く残っています。
ワインについても、ブドウ品種(リースリングやシヴァネールなど)やボトルの形状(縦長のフルート型)などドイツワインとの共通点が多くあります。
アルザスでは、西から吹く冷たい偏西風からヴォージュ山脈によって守られるため、緯度が高い割に気候が温暖で、年間降水量が500~600ミリと降雨量が少なく、日照量の多い乾燥した気候となっています。
テロワールの多様性
標高が高く寒暖の差が激しいことも手伝って優れたブドウが育ちます。
また、花崗岩質や粘土質、石灰質など幅広い土壌が入り乱れ、「テロワールのモザイク」と呼ばれており多様性にも恵まれています。
最初にも書いた通りアルザスで造られるワインの90%以上は白ワインです。
ほとんどの白ワインが辛口ですが、甘口やスパークリングワイン、赤ワインもこの様々な土壌のおかげで良質なものが生産され、同じ品種でも違った味や香りが楽しめるという特徴を持っております。
オーガニック栽培にも力を入れていて、土壌のエネルギーと自然界にある要素の力で作物の生命力を高めるというビオディナミ農法を採用したりと、ナチュラルワインの生産が盛んな地域となっています。
アルザスワインで使われる主なブドウ品種四選
リースリング
他の品種とは比較できないほどのポテンシャルの高さを持つ品種で、極甘口から辛口、低価格から超高級ワインまで、実に様々なワインを造ることができます。
テロワールによって多種多様な特徴を見せてくれる品種ですが、全体を通して味わうことができるのは引き締まった果実味とシャープな酸味ではないでしょうか。
ゲヴュルツトラミネール
ライチやバラ、パッションフルーツ、かんきつ類、ハチミツ、その他スパイシーさも含んだ複雑で多彩な香りを持つ、気品あふれる白ブドウ品種。
ピノ・グリ
豊かなボディと果実味を持つ品種。
落ち着いた酸味でまろやかでコクを感じさせる味わいが特徴です。
ミュスカ
日本国内ではマスカットの名で親しまれている白ブドウの一種。
ミュスカのワインは口に含むとマスカットのフレッシュな果実味があって、心地よい酸味が後味として広がるのが特徴です。
おすすめワイン
エブリン フークス リースリング ツェレンベルグ
完全に手作業でブドウの収穫した後、皮ごとプレスし房から果梗を取り除きます。
一晩寝かせてオーク樽に移し、自然発生する天然酵母の力で2~3カ月間発酵。
発酵後は澱とともに翌年の春まで熟成させます。こうすることでワインにボディを与え、香りに複雑さが増します。
青りんごのようなキリっとした味わいと桃のような優しい果実味が特徴で、リースリングの魅力を最大限に発揮した至高の一本。
エブリン フークス リースリング グランクリュ ロザケルンベルグ
冷涼で風通しの良いこちらのグランクリュ(特級畑)から生まれるリースリングのワインは、味わい重厚で繊細さが際立った酸味に加えミネラル感も豊富です。
華やかな香りと、パワフルさを秘めた高貴な白ワインはぜひ体験していただきたい一本です。
エブリン フークス ゲヴュルツトラミネール
一晩寝かせてオーク樽に移し、自然発生する天然酵母の力で2~3カ月間発酵。発酵後は澱とともに翌年の春まで熟成させたひと手間かけた白ワイン。
こうすることでワインにボディを与え香りに複雑さが増し、ライチやトロピカルフルーツの独特の特徴にシルキーな舌触りが加わります。個性と品格のバランスのとれた白ワインといった印象!
エブリン フークス クレマンダルザス ブリュット ロゼ
シャンパンと同じ『瓶内二次発酵』による伝統的な製造方法で造られるスパークリングワインです。
とにかく泡がきめ細やかで、クリスマスの華やかな夜を彩ってくれます。
ロゼの色味もくっきりピンクで、女性にも人気の一本となっております。
エブリン フークス ピノノワール(トラディション)
しなやかな酸味と優しい味わいのこのピノノワールはお手頃価格で親しみやすく、地元アルザスでも人気のワインです。
果実味や旨味が程よく広がりバランスが良く、アルザスピノノワールの可能性を感じることができます。
最後に
ワイン以外に観光地としてもとても魅力的なアルザス地方。
映画『ハウルの動く城』の舞台になったといわれているコルマールという街があり、まるで絵本の中に入りこんだかのようなパステルカラーの家々が建ち並び、運河ではクルーズが楽しめ『プチ・ベニス』と呼ばれています。
色々な魅力で溢れかえっているアルザス、今後大注目です!