前回はシャンパーニュのラベルについて少し触れましたね。
ですので、今回はシャンパーニュの作り方について、一緒に学んでいければと筆を取ったしだいでございます。
「え?白ワインに炭酸ガスを注入してるんじゃないの?」と思ったそこの貴方。そんな簡単な製法じゃないんですよ。ひじょ~に、手間がかかっているんです。
それでは早速みてみましょう!
トラディショナル方式
シャンパーニュはひじょうに手間ヒマのかかる『トラディショナル方式』という醸造方法を採用しております。
以下がその製法の手順となりますので見ていきましょう。
- 1次発酵
- 調合(アッサンブラージュ)
- 瓶詰め(ティラージュ)
- 瓶内二次発酵
- 瓶内熟成
- 動瓶(ルミアージュ)
- 口抜き(デゴルジュマン)
- ドサージュ
- コルク打栓(ブシャージュ)
①1次発酵
何を置いてもまずはワインが無いと始まりません。
ということで、通常通りスティルワインを造ります。造り方は過去のブログで少しふれておりますので、参考にしていただければ。(赤ワイン・白ワイン・ロゼワインの違いって?)
②調合(アッサンブラージュ)
アッサンブラージュとは簡単に言うとブレンドのこと。
出来上がった複数のワイン原酒を調合して、最高の味わいが出る比率を決定していきます。
③瓶詰め(ティラージュ)
調合したワインに酵母と糖分を添加して瓶詰めし発酵を促します。
発酵によってガスが生じますので、抜け出さないように王冠で打栓します。
④瓶内二次発酵
発酵によって生じたガスがワインに溶け込み、発泡性ワインになります。
この工程がトラディショナル方式のいちばん重要なポイントです。
⑤瓶内熟成
瓶内二次発酵終了後、酵母は役目を果たしオリとなって沈殿します。
以前ブログで紹介したとおりAOCの規定により、シャンパーニュではノン・ヴィンテージの場合は12ヶ月以上、ビンテージ・シャンパーニュは36ヶ月以上熟成させることが義務づけられています。
⑥動瓶(ルミアージュ)
沈殿したオリを取り除くためにボトルを下向きに倒立させ、それを一日1/8づつ回しながら徐々に傾斜を上げていき瓶口にオリを集めます。
⑦口抜き(デゴルジュマン)
動瓶によって瓶口に集めたオリを取り出すために、瓶口をマイナス25℃以下の溶液に浸してオリを凍らせます。
そして抜栓すると炭酸ガスの圧力で凍ったオリが飛び出します。
⑧ドサージュ
ドサージュとは、目減りした液量を補うとともに糖度の調整を行うためにリキュールを加える作業のこと。
ドサージュ前のワインは、糖分のほとんどを酵母が使ってしまっているので甘味がありません。
ですので、このリキュールの量で甘さ・辛さの調整を行うのです。
⑨コルク打栓(ブシャージュ)
上記すべての工程が終了したワインの瓶に打栓します。
そしてラベルを貼り晴れて出荷となります。
最後に
とにかくトラディショナル方式は手間と時間がかかります。
⑥の工程の動瓶(ルミアージュ)なんて、オリを落とすだけでなくゆっくりと酵母となじませたいという理由で、4ヶ月もの時間をかけて行う生産者もいます。
それくらい手間をかけることによって、香りや味わいの複雑性が増しきめ細かい泡が生まれ、私たちに感動を与えてくれるのです。
シャンパーニュを選ぶときや飲むときに、ふとそんなことを思い出してもらえたら嬉しい限りでございます。