先日、友人のお家に辛口の白ワインを持って行ったときのお話。
友人がその辛口白ワインを飲んだ第一声が「これ美味しいけど、辛口じゃなくて甘口じゃない?」でした。
聞けば、サッパリしてるのはわかるけど甘く感じるとのこと。
これは面白いなと思いましたので、本日は『「辛口」ワインなのに「甘く」感じるのはなぜ?』をテーマに書いてみたいと思います。
そもそもワインの辛口って何?
ワインというお酒は、ブドウに含まれている糖分を発酵することによって『アルコール』と『二酸化炭素』に分解して造ります。
この時に糖分をどれだけ残すかで「甘口」か「辛口」が変わってくるのです。
糖分を残さずにすべてアルコールにしてしまえば「辛口ワイン」となり、発酵を途中で止めて糖分を残せば「甘口ワイン」となります。
口に含んだ瞬間に甘味を感じる「残った糖分が多い甘口」に比べて、第一印象がスッキリと爽やかで甘くないワイン、それが「辛口ワイン」です。
フランスやイタリア、スペインなどEUの基準では、スティルワイン(発泡性ではないワイン)の残った糖分(残糖)が1リットルあたり4g以下のワインを「辛口」としています。
辛口でも甘く感じる?
ではなぜ友人は糖分の残っていない辛口ワインを「甘い」と感じたのでしょうか。
そこには「香り」が強く関わってきます。
①果実の香り
ブドウはそもそも果実なので甘い香りを持っています。
さらに熟成させることで香りの複雑さは増し、トロピカルフルーツのような香り、ライチのような香り、リンゴ、梨、アプリコットなど様々な甘い香りを奏でます。
そういった香りがワインを口に含んだ瞬間に鼻から抜け、「甘い」と感じるのではないでしょうか。
②木樽熟成の香り
木樽で熟成したワイン、特に新樽を用いたものからはバニラやココナッツのような甘い香りがします。
特にバニラはアイスクリーム、カスタードプリン、ケーキなど「バニラの香りのするものは甘いお菓子」と幼少のころから経験しています。
なのでバニラの香りを口に含んだときに感じたら「甘い」と思うのも納得ですね。
③温度が高い
温度によって甘味の感じ方は変化します。
酸味は温度による感じ方の変化はありませんが、甘味は体温に近くなればなるほど強く感じます。
ですので、ワイン生産者が10℃で飲んでほしいと思っているものを18℃くらいで飲んでしまい、変に甘く感じてしまうということがあります。
自分好みの味わいにするために、冷蔵庫で5℃くらいまで冷やして、徐々に温度をあげて味わってみるっていうのもひとつの手ですね。
赤ワインには「辛口」「甘口」の表現を使わない?
赤ワインには「辛口」「甘口」の表現を使わないのでしょうか?
答えは「いいえ」です。赤ワインに「甘口」のものがとても少ないので、わざわざ「辛口」と表記していないサイトやショップ多いだけで表現としては使います。
赤ワインは味わいの奥深さや複雑さを引き出すために、糖分がなくなるまで発酵させることが多いので必然的に辛口となります。
ですので赤ワインは、味わいの「コク」や「重厚感」、「渋味」や「ふくよかさ」などを表すために「ボディ」という言葉でその多様性を表現するのです。
最後に
ということで、本日は『「辛口」ワインなのに「甘く」感じるのはなぜ?』をテーマに書いてみました。
ただ味というものは難しいもので、いくら「糖が全てアルコールに変わったから辛口だ!」と言っても、飲んだ本人が甘く感じたならそれは「甘口」なんですよね。
今回の記事は「香りや風味で甘く感じることがあるんだな。」と頭の片隅にでも置いておいていただいて、あとは色々なブドウ品種のワインを試して、自分はどれを「辛口」に感じどれを「甘口」に思うのか、たくさん経験して楽しいワインライフを過ごしてもらえればと思います。